小さな噓
休みの日には前前から思っていたいい加減に髪を切りに行こうと
先延ばし 先延ばしになっていたので
前日から、明日は絶対に髪を切りに行くぞ、
このモッサリしている頭をどうにかするぞ!と息巻いていました。
そして、その前日の夜に私は見てしまったのです…
キューブリックの「フルメタルジャケット」を…
もうかれこれ何回目かっていうほどの回数この映画を見ていますが、
なぜか、髪を切りに行く前日に見てしまったのです。
話は少し飛びますが、戦争に恐怖心を持って立ち向かう男はかっこいい
と前から戦争映画を見るたびに思っていました。
特にこのフルメタルジャケットを見ると、戦争の空間が麻薬のように
自分に酔いしれさせてくれて、なんか憧れ的な気持ちを持ってしまう
変な性格です。
そして話は戻り、髪を切りに行く当日
この日、私は小さな嘘をついたのです。
自分は毎回決まった床屋にはいきません。
その日に見つけた床屋に入って
あの座り心地ちがいい椅子に座り、こういったのです。
「自分は明日自衛隊に入るので、髪をさっぱり切ってもらいたい」
この嘘が小さいか大きいかの判断はお任せします。
そして、1時間後、私はいつでも戦地へ行ける髪型になりました。
肩ぐらいまであった髪とはおさらば
まるで生まれ変わったかのようにこめかみから後頭部にかけて
春の風がそよいでいきます。
(矢頭)